シンガポール国際映画祭

シンガポールの首都で開催される国際映画祭。シンガポールの面積は東京23区とほぼ同じ大きさであり、人口は約560万人、公用語は英語(第一言語)、マレー語、中国語、タミル語である。アジアを代表する世界都市であり、世界都市ランキングでも常に上位に位置している。また、観光地としても人気があり、総合リゾート施設マリーナベイ・サンズや国立自然公園ガーデンズ・バイ・ザ ベイなどが有名。

 

シンガポール国際映画祭は1987年に始まる。国内最大かつ最古の映画祭であり、国内外の映画を紹介するプラットフォームとして重要な役割を果たしている。1991年からアジア映画に限定した部門“シルバースクリーンアワード”を設け賞の授与を行い、アジア映画の普及と新人監督の発掘に力を入れている。

 

毎年、11月下旬にマリーナベイ・サンズやアートサイエンスミュージアムなどの劇場で国内外の約100作品が上映される。映画の上映以外にも著名な監督やプロデュサーが映画について語る“マスタークラス”、資金調達や海外配給のレクチャーが行われる“シネマフォーラム”、レットカーペットやトークショーなど様々なオフスクリーンイベントが開催されている。

 

ナント三大陸映画祭

フランス西部の都市ナントで開催される国際映画祭。ナントは大西洋に注ぐロワール川湖畔に位置し、人口は約30万人、国内で6番目に多い。市内は自然に溢れ、芸術や文化遺産が多数存在しており、これまでにEUが主催する“欧州グリーン首都賞”を受賞、“住みやすい都市”としても毎年上位に挙げられている。

 

ナント三大陸映画祭の歴史は1979年に始まる。1970年代の支流であった“政治的な映画”からの脱却を目的に、アフリカ、ラテンアメリカ、アジアなどの第三世界の作品を中心にプログラムが組まれるようになる。主要部門のオフィシャルセレクションを始め、特別上映や監督特集などで毎年約100作品が上映されている。これまでに高嶺剛監督の「ウンタマギルー」、是枝裕和監督の「ワンダフルライフ」、富田克也監督の「サウダーヂ」、深田晃司監督の「ほとりの朔子」、想田和弘監督の「精神0」、濱口竜介監督の「偶然と想像」がグランプリを受賞している。

 

2000年よりヨーロッパと三大陸間でプロジェクトの企画開発や共同製作を目的としたマーケット“PAS”や、新人監督やプロデューサーの育成を目的に、契約業務や資金調達、海外配給に関するレクチャーが行われるワークショップなど、映画祭期間中に様々な業界イベントが企画されている。

 

フィラデルフィア・アジアン・アメリカン映画祭

アメリカ北東部に位置するペンシルベニア州最大の都市フィラデルフィアで開催される国際映画祭。フィラデルフィアの人口は約160万人で国内では6番目に多い。ペンシルベニア州はアメリカ独立13州の一つであり、独立宣言が行われた独立記念館はフィラデルフィアにある。

 

フィラデルフィア・アジアン・アメリカン映画祭の歴史は、アジア文化の普及や交流を目的に2008年に始まる。ボランティアスタッフによるNPO主催の映画祭であり、市内の大学や美術館などで映画の上映が行われる。年間を通して様々な文化イベントが開催されており、映画祭もその一環として毎年11月に開催されている。

 

アジアの作品や監督に特化した映画祭であり、これまでにも多くの日本人監督の作品が選出され高い評価を受けている。2014年にディーン山田監督の「CICADA」が観客賞を、落合賢監督の「太秦ライムライト」が特別賞を受賞した。

 

バンクーバー・アジアン映画祭

カナダ西部の都市バンクーバーで開催される国際映画祭。バンクーバーは太平洋に面する人口約60万人の湾岸都市であり、住民の約半数が英語以外を使用する多民族多言語のコスモポリタンシティーである。ハリウッド映画の撮影地としても知られ、ロサンゼルスの北に位置する事から通称“ハリウッド・ノース”と呼ばれている。

 

バンクーバー・アジアン映画祭の歴史は1997年に始まる。アジア系の映画祭としてはカナダで最も歴史のある映画祭であり、毎年国内外から集められた長編や短編など約100作品が上映されている。上映は市内の中心に位置する映画館シネプレックス・オデオンなどの劇場とオンライン配信のハイブリッドで行われ、11日間の会期中には多くの映画ファンや業界関係者が参加し盛り上がりを見せている。

 

映画祭以外にも年間を通して映画制作、カンファレンス、文化交流、上映会、ワークショップなどアジア映画を支援する様々なプログラムやイベントが実施されており、映画人の育成や映画文化の振興にも力を入れている。「ワイルドスピード」シリーズや「スター・トレック BEYOND」のジャスティン・リン監督の初監督作品も上映された。

 

サンディエゴ・アジアン映画祭

アメリカ西海岸の都市サンディエゴで開催される国際映画祭。サンディエゴはカリフォルニア州の最南端に位置し、アメリカとメキシコの国境にある都市である。その人口は約140万人、州内ではロサンゼルスに次で2番目に、国内では8番目に多い。年間を通して温暖な気候であり、ショッピングやアウトドアスポーツが人気のリゾート地でもある。

 

サンディエゴ・アジアン映画祭はアジア系アメリカ人とアジア人の映画の普及を目的に2000年に始まる。毎年11月の開催期間中には国内外の約150作品が上映され、審査員や観客の投票による賞の授与が行われる。これまでに、ポン・ジュノ監督の「殺人の追憶」や平栁敦子監督の「OH LUCY!」など、数多くのプレミア上映を成功させた実績を持つ。

 

映画の上映以外にも、監督と観客が直接ディスカッションができるQ&Aや、映画関係者向けセミナー、海外配給に関するカンファレンスなど様々な業界イベントが開催されており、南カリフォルニアを代表するアジア映画祭として人気を集めている。

 

台北金馬映画祭

台湾の首都、台北市で開催される国際映画祭。台北市は台湾政府が直轄する特別都市として、台湾の政治、経済、文化の中心を担っている。また、アジアを代表する観光都市であると同時に、中華経済の窓口となる世界都市として重要な役割を果たしている。

 

台北金馬映画祭の歴史は1962年に台湾映画の普及を目的に発足した金馬賞に遡り、「世界中の映画を通して芸術と文化の相互理解を深める」のテーマのもと、映画祭、プロジェクトプロモーション、アカデミーが加わり、現在の台北金馬映画祭に至っている。

 

毎年数多くの日本映画が上映されており、監督特集や特別上映会が組まれるなど日本映画への関心の高さを窺うことができる。これまでに大島渚監督、森田芳光監督、 黒沢清監督、岩井俊二監督、是枝裕和監督などの作品が上映されている。

 

高雄映画祭

台湾南西部の都市、高雄市で開催される国際映画祭。高雄市の人口は約280万人(国内第3位)、公用語は中国語だが台湾語も一般的に使用されている。高雄国際空港や高雄港を有する台湾南部最大の都市であり、経済や文化の中心地である。台湾を代表する映画監督であり、台湾ニューシネマを牽引したホウ・シャオシェンの出身地としても知られている。

 

高雄映画祭の歴史は2001年に始まる。2011年に台湾では初となる短編部門に一般公募枠が設けられた。毎年10月から11月にかけて、高雄市内の劇場を中心に国内外の約150作品が上映され、審査員投票による賞と賞金の授与が行われる。

 

日本映画の特別上映や回顧展、監督特集が組まれるなど親日の映画祭としても知られ、これまでに、三木聡監督、中村義洋監督、是枝裕和監督、大森立嗣監督、熊切和嘉監督、内田英治監督などの特集が組まれた。また、2016年には日本歴代のインディペンデント監督作品を上映するイベント「8mm Madness: Japanese Indes」が行われ好評を博した。

 

釜山国際映画祭

韓国南東部の都市釜山で開催される国際映画祭。釜山は首都ソウルに次ぐ韓国第二の都市であり、その人口は約360万にのぼる。韓国最大の釜山港を有する湾岸都市として、東アジアの物流の拠点となる重要な役割を果たしている。また、古くから日本との交流が盛んであり、地理的にも近い下関市と福岡市は姉妹都市の関係にある。

 

釜山国際映画祭の歴史は1996年に始まる。国際映画製作者連盟公認の国際映画祭であり、アジアを代表する映画の祭典として常に注目を集めている。釜山シネマセンターをメイン会場とし、毎年10月の10日間で、国内外の約300作品(ワールドプレミア約100作品)が上映され、来場者数は約20万人を記録している。

 

同映画祭では従来の映画祭に加え、映画の売買を行う“アジアン・フィルム・マーケット”、共同開発を行う“アジアン・プロジェクト・マーケット”、投資を行う“アジアン・シネマ・ファンド”、 ワークショップやレクチャーを行う“アジアン・フィルム・アカデミー”などが併設されており、映画業界をサポートする様々な機会が提供されている。

 

アジアン・アメリカン国際映画祭

アメリカ北東部の都市ニューヨークで開催される国際映画祭。ニューヨークはアメリカ最大の都市として、政治、経済、文化の中枢を担っている。映画産業ではロサンゼルスに次ぐ規模を誇り、年間200本以上の映画が製作され、約13万人の雇用を生み出している。アメリカ国内で製作されるインディペンデント映画の1/3がニューヨークで製作されている。

 

アジアン・アメリカン国際映画祭は非営利団体アジアン・シネビジョンによって、“アジアン・アメリカン映画の振興と支援”を目的に1978年に始まる。北米最古のアジア映画祭であり、「アジアン・アメリカンシネマの故郷」と称され、アメリカのみならずヨーロッパやアジアなど世界中から高い注目を集めている。

 

同映画祭はアジア人監督の作品だけでなく、アジア文化に焦点を当てた作品も募っており、映画を通じてアジア文化を紹介する重要な役割を果たしている。また、インディペンデント監督や新人監督の発掘にも定評があり、アジア人映画監督の登竜門としても知られている。

 

ダラス・アジアン映画祭

アメリカ南部テキサス州の都市ダラスで開催されるアジア系の国際映画祭。ダラスの人口は約120万人、アメリカ国内では9番目、テキサス州ではヒューストン、サン・アントニオに次いで3番目に人口が多い。主な産業は綿産業や石油産業であり、近年では科学技術や情報通信の分野で目覚ましい発展を遂げている。

 

ダラス・アジアン映画祭はアジア映画の普及と発展を目的に2002年に始まる。これまでに約400作品のアジア映画がプレミア上映されており、アメリカ南部最大のアジア映画祭として知られている。毎年、日本から多くの作品が選出され各部門で賞を受賞しており、常に高い評価を得ている。

 

2016年からフィクションやドキュメンタリー、アニメーションなどの従来の部門に女性監督部門が加わり、より幅広いプログラムで作品の募集が行われている。また、映画祭期間中には映画監督や俳優のQ&Aやレッドカーペット、ガラレセプションパーティーなどが多数設けられている。

 

富川ファンタスティック国際映画祭

韓国北西部の都市、富川市で開催される国際映画祭。富川市の人口は約90万人、首都ソウルと韓国第三の都市仁川の間に位置する衛星都市である。「文化特別市富川」をテーマに掲げ、漫画や映画、音楽など様々な文化芸術イベントが開催されている。

 

富川ファンタスティック国際映画祭の歴史は1997年に始まる。アジアを代表するジャンル映画祭として、毎年約300作品が11日間にわたって上映される。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭やヨーロピアン・ファンタスティック映画祭連盟などとも協力し、ジャンル映画の普及に務めている。

 

上映プログラムは、コンペ部門の“プチョン・チョイス”をはじめ、有名監督の最新作を上映する”マッドマックスX”、ホラー映画限定の“アドレナリン・ライド”など、様々なプログラムで構成されており、コンペ部門の優秀作品には賞と賞金の授与が行われる。また、会期中には業界イベントBIFAN+が開催され、カンファレンスやワークショップ、エキシビジョン、プロジェクトマーケットなどが行われる。

 

上海国際映画祭

中国の東海岸に位置する都市上海で開催される国際映画祭。上海の人口は首都北京の約2,200万人をうわまわる約2,400万人にのぼり、中国最大の都市として経済や文化の中心を担っている。また、世界最大のコンテナ取扱量を誇る上海港を有し、国際的なハブ港湾としても重要な役割を果たしている。

 

上海国際映画祭の歴史は1993年に始まる。中国で唯一、国際映画製作者連盟公認の映画祭として、映画文化の普及と映画産業の発展とを目的に、毎年10日間の会期中に国内外の約500作品が上映されている。日本映画が多く選出される映画祭としても知られ、日本特集や特別上映会などが人気を博している。

 

映画祭に併せてマーケットやプロジェクト、フォーラムなどの業界イベントが開催されており、世界中から映画を求めて配給会社やエージェント、業界関係者が参加している。中国やアジア市場進出への窓口となる重要な機会であり、映画のビジネス面をサポートする様々な取り組みが行われている。